今月の主題 内科医に必要な泌尿器科の知識
治療とその考え方
尿路結石の治療と予防
高崎 悦司
1
Etsuji Takasaki
1
1獨協医科大学・泌尿器科
pp.2532-2533
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218075
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尿石症の成因については多くのものがあげられているが,実際に個々の症例について成因を求めるのは今日でも困難な場合が少なくない.しかし少なからざる患者,ことに尿石を多発する症例については注意深く検索すると,その原因と思われる病態を把握できるものである.一般的には尿石形成の機序として,①尿石原基(stone embryo)の存在,②結石析出の促進因子,③結石形成の抑制因子,の組み合わせによると考えられるが,今日では2番目の促進因子の解明がかなり行われ,ことに代謝的な方面からの追究が進んでいる.尿石の再発はしばしば経験され,筆者の700例尿石患者の追跡調査(平均追跡期間8年8カ月)でも,追跡しえた422例中172例(40.8%)に再発,多発を認めているので,尿石症の治療にあたっては再発をも考慮し,その成因,ことに代謝異常の存在に配慮して適当な措置を行わなければならない.
尿石はその種類(化学的組成)によって成因が異なるので,まず尿石の一般治療方針を述べてから各種類の尿石ごとに,現在比較的明らかにされている因子について簡単に触れながら,再発予防も含めた治療方法を記述する.
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