増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
1)下垂体関連
(1)成長ホルモン
森 理
1
1名古屋大学医学部小児科学教室
pp.194-195
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901115
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はじめに
低身長を主訴とした成長ホルモン(GH)分泌不全症は,身長SDスコアが-2.0以下の低身長者の約10〜20%に発見される.GH分泌不全症は成長ホルモン注射による治療が確立されており,現在もっとも有効で安全な方法である.その確定診断は,採血法による成長ホルモン分泌負荷試験あるいは夜間睡眠中GH分泌能の生理的な検査で行われる.近年,夜間睡眠中の生理的GH分泌能を反映する指標として早朝尿中のGH濃度の測定が,本疾患をスクリーニングする有用な手段であることが判明した.
この分野での研究は,わが国の小児内分泌学のなかで飛躍的な発展を遂げている.すなわち,本測定法は宮崎医大生化学教室の石川栄治教授および橋田誠一博士らが世界に先駆けて開発した高感度エンザイムイムノアッセイ(EIA)法により,初めて尿中の微量な成長ホルモン濃度が測定可能になったためである.現在は商品化され,住友ピコイアHGH測定用EIAキットとして発売されている.この方法によれば,従来のRIA法に比べ約1,000倍の感度が得られ,尿中では1pg/mlから測定が可能となった.また,従来のRIA法と違って放射性物質を使用しないために,廃棄物の処理に特別な配慮がいらなくなった.尿中GH濃度測定は平成2年度から健保適用され,現在大塚アッセイ研究所に測定が依頼できる.
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