今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで
鑑別診断
尿路結石
高崎 悦司
1
Etsuji Takasaki
1
1獨協医科大学・泌尿器科
pp.428-429
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218936
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尿路結石の病態生理
尿路結石は尿中に存在するある種の晶質を主体として構成される凝固物であり,ほとんどが腎に発生し,その原基は尿細管のなかですでに形成されていると考えられるが,結石へと成長するのは腎杯や腎盂のなかであり,小なるものは尿とともに外部に自然排出され,大なるものが腎杯,腎盂あるいは尿管内に留って臨床症状を呈する.結石を構成する主な晶質として蓚酸,燐酸および炭酸のカルシウム塩,燐酸のマグネシウムアンモニウム塩,尿酸とその塩,シスチン,キサンチンなどがある.シスチン,キサンチン以外は正常でも尿中に,これらの晶質がしばしば過飽和に溶解しており,さらに濃度が高まると自然に析出するに至る.この濃度レベルでのそのイオン活動度積をformationproductと呼び,このレベル以下は過飽和状態ではあるが晶質の析出はおこらぬ準安定な領域(metastableregion)であり,尿中に存在する晶質析出を阻止する因子(inhibitor)の作用が想定されている(図1).また晶質が析出しない他の因子として,尿の速かな流れがある.
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