臨床検査のピットフォール
血清蛋白分画の読み方—BJPを見落とさない
井本 真由美
1
1近畿大学病院中央臨床検査部
pp.1274-1278
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208543
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
血清蛋白分画は,血中蛋白質異常のスクリーニング検査として有用であり1),蛋白の電荷の違いにより,アガロースゲル電気泳動法やセルロースアセテート膜電気泳動法では5分画〔アルブミン(albumin:ALB),α1,α2,β,γ〕に分離される.近年検査室で導入されてきているキャピラリー電気泳動法では,β分画がさらに2分画されるため6分画に分離される.各分画の分画比とTP(total protein)濃度から換算される蛋白量と,波形の形状から病態を把握することができる.
血清蛋白分画の最大の目的として,M蛋白(monoclonal protein)の検出がある2).M蛋白には,IgG型,IgA型,IgM型,IgD型およびIgE型の他,免疫グロブリンのL鎖(light chain)が異常増加するベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein:BJP)型がある.BJPの分子量は23〜45kDaであり,2量体を形成していることが多いが,分子量が小さいことから,血中に産生されてもすぐに尿に排泄される.本稿では,血清蛋白分画において,明瞭なM蛋白として検出され難いBJP型を見落とさないためのポイントについてレビューする.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.