技術講座 生化学
血清蛋白分画とデータの判読
藤田 清貴
1
1千葉科学大学大学院危機管理学研究科
pp.161-167
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103074
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新しい知見
自己免疫性膵炎(硬化性膵炎)では,fast-γ位に移動度をもつIgG4が増加するため,血清蛋白分画でβ-γブリッジングが認められるので診断に有用である.IgGには,IgG1からIgG4まで四つのサブクラスが存在するが,IgG4は量的に最も少なく,健常者では総IgGの数%にすぎない.本疾患では,90%以上の例で血清IgG4の上昇を認め,その平均値は600~700mg/dl(基準値:135mg/dl以下)であるという.しかも,膵癌,慢性膵炎,原発性硬化性胆管炎など関連疾患ではほとんど上昇を認めないことから,本疾患に特異的であると考えられている.
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