特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
蛋白
血清総蛋白と蛋白分画,A/G比
木村 聡
1
,
増山 智子
1
1昭和大学横浜市北部病院臨床検査科
pp.122-125
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101746
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血清には多種多様な蛋白が存在するが,これらの総量をみる検査が総蛋白であり,蛋白の構成比から病態把握を行うのが蛋白分画とA/G比である.いずれも個々の蛋白定量に比べ疾患特異性は劣るが,簡便かつ安価に血清蛋白の増減を把握できる.このため日本臨床検査医学会も,これらを「日常診療における基本的臨床検査」として推奨している.
1. 総蛋白(TP)
血清蛋白最大の供給源は肝臓である.血清蛋白の約6割を占めるアルブミンをはじめ,さまざまな蛋白が肝臓で合成される.この合成能が低下する肝機能障害とりわけ肝硬変や栄養失調で総蛋白(total protein:TP)は低下する.さらに血清蛋白が尿中に失われる腎疾患,とりわけネフローゼ症候群でもTPは低下する.
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