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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
5章 成熟B細胞腫瘍
13 原発性アミロイドーシス
Primary amyloidosis
増田 亜希子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.994-995
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206188
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アミロイドーシスは,アミロイドと呼ばれる線維性の蛋白質が細胞間質に沈着することにより,臓器障害を起こす症候群である.複数の臓器にアミロイドが沈着する全身性アミロイドーシスと,ある臓器に限局してアミロイドが沈着する限局性アミロイドーシスに大別される.
原発性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)は全身性アミロイドーシスの代表的な一病型であり,免疫グロブリン軽鎖由来のアミロイド線維(ALアミロイド)が全身臓器に沈着し,機能障害を来す症候群である8).基礎疾患として形質細胞異常症を有し,WHO分類第4版では形質細胞腫瘍に含まれる1).しかし,骨髄内の形質細胞は少なく,骨病変,貧血,高カルシウム血症は認めないことが多い.各臓器へのアミロイド沈着による症状が主体であり,頻度の高い症状としては,腎機能障害(ネフローゼ症候群),消化管症状(下痢など),心アミロイドーシス,末梢神経障害などが挙げられる.多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の経過中にアミロイドーシスを合併することもある.確定診断には生検によりアミロイドの沈着を確認する必要がある.心アミロイドーシスを来した場合は,特に予後不良である.
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