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血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma:IVLBCL)は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)の亜型であり,血管内選択的にリンパ腫細胞の増殖を来す節外性リンパ腫のまれな一病型である.リンパ腫細胞が中〜大動静脈を除くあらゆる血管内,特に毛細血管内や後毛細血管小静脈内で腫瘤形成を伴わずに増殖を示す1,2).非Hodgkinリンパ腫の1%未満とされる.年齢中央値は70歳(34〜90歳)で,中高齢者に多く,男女比=0.9:1と男女差はない. 腫瘤を形成しないため,診断が困難である場合が少なくない.本疾患の診断には,骨髄生検やランダム皮膚生検が有用である.
臨床症状では,B症状,貧血,血小板減少,骨髄・脾臓・肝臓への浸潤が多くみられる.血管内で腫瘍血栓を形成し,多彩な臓器障害を来す.血球貪食像や神経学的異常,皮疹を認める場合もある.リンパ節腫大が認められることは少ない.わが国では,血球減少,肝脾腫や血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)を主体とするアジア亜型(Asian variant)が約60%を占める2).
治療は,aggressive lymphomaとしてリツキシマブ併用化学療法が行われる.わが国における後方視的解析では,リツキシマブ併用化学療法による2年全生存率は66%と報告されている.
〈IVLBCLの亜型〉
①Asian variant:わが国をはじめ東アジア諸国からの報告が多く,腫瘤形成を伴わないHPSや血球減少,多臓器不全などの急激な臨床経過を示す.骨髄・脾臓・肝臓への浸潤や,血小板減少が多くみられる.中枢神経症状や皮膚症状は少ない.
②cutaneous variant:欧州で報告された亜型である.皮膚に病変が限局しており,予後良好とされるが,わが国ではまれである.ほぼ全例が女性である.
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