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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
1章 急性白血病
5 急性前骨髄球性白血病(APL,AML-M3)
Acute promyelocytic leukemia(APL)/Acute myeloid leukemia-M3(AML-M3)
常名 政弘
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.858-863
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206143
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急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)は異常な前骨髄球が増加する白血病であり,FAB(French-American-British)分類のAML-M3(acute myeloid leukemia-M3),M3v(M3 variant)に相当する.90%以上でt(15;17)(q22;q12);PML-RARA融合遺伝子が認められる1〜3).AML-M3では粗大なアズール顆粒を有する異常前骨髄球の増加を認め,Auer小体が束状になったfaggot細胞も特徴的である.M3 variantでは光学的にはほとんど観察できない微細な顆粒が増加しており,AMLの他の病型との鑑別に苦慮することがある6).M3 variantはAPLの約10%を占める.線溶亢進によるDIC(disseminated intravascular coagulation)を合併していることが多いため,早期発見が重要である.
APLはAMLの10〜15%を占め,ATRA(all-trans retinoic acid)併用の化学療法によって90%以上の高い寛解率と80%以上の全生存率が得られる最も予後良好な病型である4).再発例には亜ヒ酸が有効であり,80%以上で再寛解が得られる.診断および治療効果のモニタリングにおいて,PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるPML-RARA融合遺伝子の検出が非常に有用である.
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