今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・8
急性骨髄性白血病(AML-M7)
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.838-839
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903797
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AML-M7は,当初FAB分類には含まれていなかった.これは形態学的に巨核芽球を同定することが難しく,またこれを支持する簡便な診断方法が確立していなかったからと思われる.巨核芽球は電子顕微鏡的に血小板ペルオキシダーゼが陽性だと確診できるが,電子顕微鏡を使用した煩雑な方法のため臨床検査法としては限界があった.一方,巨核球/血小板系に特異性が高いCD 41(glycoprotein Ⅱ b/Ⅲ a)などの免疫学的マーカーが発見されると,その利用の簡便さから急速に普及するようになり,急性巨核芽球性白血病はAML-M7としてFAB分類に追加された.
AML-M7の頻度は全AMLの1~3%である.骨髄線維化を伴いやすくdray tapのことがあり,吹き付け標本しか得られないことも少なくない.このようにAML-M7は巨核芽球の同定もさることながら悪条件を背景に診断を強いられることもあり最も形態学的診断が難しいタイプの1つである.巨核芽球はミエロペルオキシダーゼ(MPO)陰性であるので他のMPO陰性芽球との鑑別が必要となる.
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