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急性白血病のAML-M4は,骨髄中に芽球増殖と同時に顆粒球と単球をそれぞれ20%以上認める.しかしときに,単球が骨髄中20%に満たないことがあり,この場合は末梢血液中に5,000/μ1以上あるいは血中または尿中リゾチーム値が正常上限の3倍以上であればよい.したがって,骨髄所見からはAML-M2であっても,末梢血液像とリゾチーム値からAML-M4の場合がある.典型的なAML-M4は,骨髄中に芽球に加え,成熟単球と顆粒球の増殖を認める(図1).さらに,単球は非特異的エステラーゼ(Esterasebutyrate; Es-bなど)を有しているので,顆粒球が持つ特異的エステラーゼ(Esterase chloroace-tate; Es-chなど)と同時に二重染色すると,単球と顆粒球の混在が一目瞭然となる(図2).しかし,約10~20%の症例では,Es-b陰性である.この場合,一部のAML-M 2に認められる脱顆粒と核形態異常の著明な成熟好中球と鑑別を要する.myeloperoxidase (MPO)染色で単球は陰性あるいは弱陽性であることから,MPOが明瞭に陽性である顆粒球と鑑別することができる.M4の一部に骨髄中に好酸球増多(5%以上)を示すタイプが知られ,AML-M4 with eosionphilia (AML-M4eo)とFAB病型では分類されている(図3).AML-M4eoでは,染色体inv (16)(p 13;q22)を伴っており,遺伝子レベルではCBFβとMYH11との融合遺伝子が形成されている.PCR法でこの融合遺伝子のmRNAを検出することができ,これは染色体inv (16)より高頻度に発見される.inv (16)を有するAMLは,予後良好群の1つであるから,遺伝子レベルでの検討も診断に必要であることが指摘されている.またM4では骨髄3血球系(赤芽球系,顆粒球系,巨核球系)の形態異常を伴うAML with trilineage dysplasia (TLD)がM6に次いで多いことが知られており,予後不良群を形成している.
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