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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
1章 急性白血病
4 t(8;21)(q22;22);RUNX1-RUNX1T1を伴う急性骨髄性白血病
Acute myeloid leukemia with t(8;21)(q22;22); RUNX1-RUNX1T1
寺島 道子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.856-857
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206142
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WHO(World Health Organization)分類第4版では,特定の遺伝子異常を有するAML(acute myeloid leukemia)が疾患単位として分類されており,t(8;21)もそのひとつである2).t(8;21)(q22;22);RUNX1-RUNX1T1を伴うAMLのほとんどは,FAB(French-American-British)分類のM2に属する.芽球比率は骨髄あるいは末梢血に20〜90%みられ,前骨髄球以降の分化段階の顆粒球系細胞が10%以上認め,かつ骨髄において単球系細胞が20%未満であるとされている.
染色体検査でt(8;21)(q22;22),あるいはFISH(fluorescence in situ hybridization)やRT-PCR(reverse transcription- polymerase chain reaction)でRUNX1-RUNX1T1(AML1-ETO/MTG8)融合遺伝子が検出されれば本症と診断される.骨髄の芽球比率が20%未満でも,これらの遺伝子異常が認められればAMLと診断される.t(8;21)を伴うAMLは一般に化学療法に対して高い完解率を示し,予後良好とされている.また,大量シタラビン療法による地固め療法により長期の無病生存が得られる.予後因子,治療方針の選択のうえで,t(8;21)の有無を確認することは重要である.
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