けんさアラカルト
脳卒中について
伊藤 秀樹
1
1黎明郷リハビリテーション病院検査部
pp.1063
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204251
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昔から,「人は血管とともに老いる」と言われているくらい,人の生命と血管の老化による疾患は因果関係がありました.その中でも脳卒中(脳血管疾患)は,もっとも恐れられている疾患の中の一つです.というのは,脳卒中は昭和26年以降,結核にかわって日本人の死亡原因の第1位となり,昭和45年にはピークに達し,総死亡の25%を占めるまでになったからです.その後は,脳卒中の最大の原因であると言われている高血圧症が治療でコントロールできるようになったことや,日本人の食生活ならびに生活環境がよくなったことによって,脳卒中の死亡率はしだいに減少し,昭和56年には悪性新生物が死亡率の第1位となりました.とはいっても,脳卒中は依然として死亡率の高い疾患であることに変わりはなく,ましてや50歳以上では,現在もなお高い死亡率を占めております.
さて,私の勤務する黎明郷リハビリテーション病院は,当時の医学水準を背景に昭和41年4月に,「脳卒中及び高血圧の予防,診断,治療ならびにリハビリテーションに関する研究,調査を行い,もって社会福祉の増進に寄与する」ことを目的に設立され,現在に至っている病院です.そして地域住民からは"あたり"(脳率中のこと)の病院として知られ,現在では県内外の遠方からの入院も多くなっています.
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