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小宇宙からのメッセージ—新ウイルス物語—日本人の起源を探る—日沼 頼夫 著
麻生 裕康
1
1千葉県がんセンター臨床検査部
pp.1050
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204244
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AIDS(エイズ)の日本上陸のニュースとともに,九州や四国の一部の地域に多発するという成人T細胞性白血病(ATL)が,最近の新聞やテレビなどのメディアをにぎわしており,一般世間の人々にも知れわたってきたようである.しかし,この病気は最近になって初めて出現したものではなく,昔から存在していたようである.はっきり他のリンパ腫と区別されていなかったものが近年,熊本大学の高月教授によって"新しい白血病"として提唱され,ATLとして区別された.同教授をはじめ多くの研究者は,その原因にウイルスが関与している可能性があると考えていた.
本書は,このATLの原因ウイルスの正体解明を世界で初めて成し遂げた京大ウイルス研究所の日沼教授によって書き下ろされた物語であり,このATLウイルスの発見が日本人の起源を探る人類学へと発展する経緯が書かれている.
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