りんりんダイヤル
好中球の中毒性顆粒について
福原 幸子
1
,
柿沼 カツ子
1
1東京都臨床医学総合研究所
pp.1065
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204252
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問 好中球の中毒性顆粒は感染症以外に,どのような場合に出現するのでしょうか.また中毒性顆粒の出現した好中球は,正常好中球に比べて機能的に低下しているのでしょうか.(島根 M生)
答 中毒性あるいは中毒顆粒(toxic granules)とは,正常な成熟好中球の顆粒が染色により微細な紫紅色を示すのに対して,顆粒が大きく強い紫紅色ないし濃青色に染色される場合をいいます.この大きな濃く染まる顆粒は,ちょうど前骨髄球のアズール顆粒と同じように見えます.昔は炎症部位からの毒物の蓄産物と考えられたこともありましたが,今はその前骨髄球のアズール顆粒と同じであることがわかっています.これは前骨髄球から成熟好中球への分化過程の中で,顆粒が小さくならずに,そのままの状態で残ったものと考えられています.一種の成熟障害の表れです.炎症性疾患時や重症の感染症時に多く見られるのは,多量の好中球が必要となって,成熟分化のスピードが追いつかなくなったためとも解釈され,造血機能の本質的な異常ではありません.それは症状の回復とともに,多くの場合,中毒顆粒は減少,消失していくことからもわかりま
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