らいぶらりい
—国行昌頼著—臨床に必要な血液型の知識/—根本 春著—中央滅菌材料室
遠山 博
1
1群馬大学
pp.46-47
発行日 1965年6月1日
Published Date 1965/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202990
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- 文献概要
近年輸血の臨床医学に対する功績は誠にめざましいものがあるが,その反面輸血による副作用も極めて多い.その中でも血液型の不適合に原因するものが主力を占めている.往時はその本態が不明であったものも次第に解明されて来つつある.しかし今なおその機構の十分にわからないものが極めて多い.本世紀の初頭Landsteiner等によりABO式血液型の発見という歴史的な業績があがって以来,WienerおよびLevineによりRh式血液型が発見され,さらに第2次大戦後Lutheran,Kell,Lewis,Duffy,Kidd等々その他極めて多くの赤血球に関する血液型が発見され,また近年白血球や血小板に関する血液型,またHaptoglobin等の血清型などが問題となりつつあり,往時の如くABO式の知識のみでは到底正しい輸血はできなくなって来た.
国行昌頼氏は古畑種基東大名誉教授の門下にあって主として血液型学を専攻され,以来15年の長きにわたって輸血学の第一線にあって多大な経験をつまれた.「臨床に必要な血液型の知識」は基礎の血液型学と臨床医学の橋渡しとして良い書である.従来血液型学者は往々にして臨床からかなりかけ離れ,また臨床家は平均的には血液型学の基礎知識にはうとい傾向があった.本書はこの両方面の間に巧みに調和をとっている.また簡潔,平易である反面,著者の広い知識と多大の努力により最新の知見を豊富にとりあげてある.
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