Current Focus ●胎児治療
子宮のなかの小宇宙―胎児鏡が変える赤ちゃんの未来
中田 雅彦
1
1山口大学医学部附属病院周産母子センター
pp.519-522
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100225
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胎児治療の現状
胎児治療は,1960年代に行なわれた血液型不適合妊娠による重症貧血の胎児に対する胎児輸血に始まり,現在では表1にあげる種々の疾患に対し行なわれている。母体に投薬し胎盤を通じて胎児に薬物を移行させる“経胎盤的治療”,超音波ガイド下に胎児の胸腔や腹腔にカテーテルを留置する“シャント術”,胎児の臍帯を穿刺し輸血を行なう“胎児輸血”などがあり,いずれも超音波検査法の進歩により,胎児疾患の発見とその評価が可能になったことが大きな進歩になっている。
対象となる疾患は,第一に,胎児期に発症する疾患であり,第二に,胎児期に進行するため子宮内胎児死亡に至ったり,出生したとしても予後不良に至る可能性があり,第三に,出生後の治療ではQuality of Lifeが著しく障害される疾患が対象となっている。現状では,周産期センターを有するような三次施設で,年間百数十件が行なわれている。特に胎児不整脈や胎児胸水などの症例では,有効な成績をあげていて今後の発展が期待できる。
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