臨床生理検査と技術 Ⅶ 呼吸機能検査
[3]呼吸機能検査法と判定基準
[I]拡散機能
佐々木 英忠
1
1東北大学医学部第一内科
pp.625-626
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204128
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COを用いる理由
肺胞内のO2は肺胞壁を通過して赤血球内のヘモグロビンに致達し,赤血球によってO2は組織へと運ばれる.この気相から液相へのO2の移動は,肺胞内O2圧と赤血球内のO2圧較差によって受動的に生じるが,この移動を拡散(diffusion)と呼んでいる.CO2は逆に赤血球から肺胞内へ移動するが,O2に比べて20倍も拡散しやすい(拡散係数が20倍O2より大)ので,臨床的には拡散障害による影響はほとんどない.
単位時間に断面積Aを通って拡散するO2量JはJ=D′・A・(PAo2-PCo2)と表される.ここで,PAo2は肺胞内O2分圧,またD'は拡散係数であるが,D′・Aをいっしょにして肺の拡散能力(diffusion capacity;DL)という.したがってO2については,DLo2=1分間に摂取されたO2量(ml/min)/(PAo2-Pao2)この式は抵抗(R)=(PAo2-Pao2)/1分間に摂取されたO2量=1/DLo2とも書け,DLo2はコンダクタンスを表す.
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