Japanese
English
方法と装置
肺拡散について
Studies of Cerebral and Pulmonary Circulation. Theoretical Observations on Pulmonary Diffusion.
五島 雄一郎
1
,
長谷川 恒雄
1
Yuitiro GOTO
1
,
Tunewo HASEGAWA
1
1慶応大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, KEIO University
pp.807-813
発行日 1956年11月15日
Published Date 1956/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200434
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前がき
最近の循環器病学に於ける臨床及び研究の進歩は,この方面の諸種検索法の著しい発達とその普及に負う所が大である。われわれは数年来Kety及びSchmidtによるN2O法を用いて脳循環の研究を進めて来たのであるが,この方法を実施するに当り,N2Oが肺より血中に拡散して移行する程度が脳血流量測定上,重要な因子である事を知り,更に臨床及び研究を通じて脳循環と肺循環が生体の機能調節上密接なる相関々係にあることに着目した。そこで脳と肺の循環動態及びこれに基くガス代謝動態,物質代謝動態を検索することとし,まづ最初に肺の拡散(後述)を取扱つてみた。肺の拡散度は肺より血中へ移行するガスの透過度,或は血中より肺へ移行するガスの透過度を示す指標であつて,肺循環及びガスを取扱う上に極めて重要な因子であるのみならず,一般にFickの原理に基く脳血流量の測定,冠血流量の測定及び心搏出量の測定においても理論構成の基礎因子になつている。
従来,肺の拡散度に関してはRiley1)による測定法があるが,本篇においては肺と肺血流間におけるガス交換は拡散によつて行われるものと見做し,拡散論に基いて理論式を誘導すると共にその解説と測定法に就いて述べ,後篇に於て測定結果に基く臨床的観察を加えることとした。
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