技術講座 生化学
血清フェリチンの測定法
浅川 英男
1
,
松嵜 貴子
2
,
森 亘
3
1東京理科大学(薬学部)臨床病態学
2北里大学衛生学部血清学教室
3東京大学
pp.1061-1065
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203837
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フェリチンは肝,脾,骨髄などに多く分布する蛋白で,生体内における鉄貯蔵の役割を担っている.これらの組織から遊離した血清フェリチンの値は体内の鉄貯蔵量をよく反映して増減するため,種々の貧血や鉄過剰症などの鉄代謝異常の鑑別診断に有用であり,従来鉄代謝の指標として用いられてきた血清鉄,総鉄結合能(TIBC),その他の検査項目と並んで重要である.また血清フェリチンは炎症や腫瘍の侵襲によって組織が破壊されるとき,細胞から逸脱して増加するため,病態を把握する手がかりともなりうる.さらに各種悪性腫瘍患者においては,上記に加え腫瘍細胞自身の産生するフェリチンのため,血清フェリチン値がしばしば上昇することから腫瘍マーカーとして,あるいは治療のモニターとして注目され広く応用されつつある.
以下に検査室で行いうる血清フェリチンの測定法について概略を述べてみたい.
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