検査データを考える
血清鉄とフェリチン値の評価
米満 博
1
,
菊野 薫
1
1千葉大学医学部臨床検査医学講座
pp.651-655
発行日 1996年7月1日
Published Date 1996/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902832
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はじめに
鉄は生体にとって必須の微量金属元素であり,ヘモグロビンの構成要素として呼吸に,またエネルギー代謝に必要な酵素の構成成分として極めて重要な体内機能に関与している.最近,鉄運搬蛋白としてのトランスフェリンや貯蔵蛋白としてのフェリチンに関する研究が急速に進歩し,鉄動態の詳細がいっそう明らかになってきている.日常検査においても血清鉄や血清フェリチン値が頻繁に測定され,病態の鑑別や治療の効果判定に利用されている.これらの検査の持つ意義と検査値を正しく評価するためには,複雑な鉄の動態を十分に理解することが必要である.
本稿ではまず鉄動態の基礎を解説し,それぞれの検査測定の持つ意義と,それをもとにした結果判定のしかたについて述べる.
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