形態学的検査と技術 血液と病理
病理
【12】胎盤・生殖器系の検査法
[B]アルカリホスファターゼ,フェリチン
岡 輝明
1
,
森 亘
2
,
浅川 英男
3
,
飯野 四郎
4
1東京大学医学部病理学教室
2東京大学
3東京理科大学薬学部臨床病態学教室
4東京大学医学剖第一内科学教室
pp.620-625
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203716
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アルカリホスファターゼ
1,はじめに
アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase:Al-p)はモノリン酸エステルを基質とする酵素で,細菌から哺乳類全般に存在しているが,その生理的機能については現在なお不明の点が多い.ヒトでは諸臓器,組織にわたって広く分布し,特に小腸,胎盤,腎臓などに強い活性が認められる.胆汁,尿,乳汁などの分泌物中にはおのおのの臓器由来のAl-pが含まれ,一方,血清中にもAl-p活性が認められ,従来から臨床的に骨疾患や肝胆道疾患の診断に利用されている.このため血清Al-p値の測定は日常臨床検査の主要な項目の一つとなっている.
血清Al-pの異常を示す疾患は多いが,表1にその代表的なものを掲げた.産婦人科領域に関しては,胎盤にAl-p活性が高いことを反映して,妊娠後期に血清総Al-p値の上昇することが知られている.この現象を利用して,胎児・胎盤機能検査の一つとして血清Al-p測定が行われている.
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