私たちの本棚
古代史の謎"邪馬台国"への探訪—邪馬台国の秘密—高木 彬光 著 C75まぼろしの邪馬台国—宮崎 康平 著
加藤 亮二
1
1野口病院検査科
pp.999
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203818
- 有料閲覧
- 文献概要
「南邪馬台国に至る女王の都する所水行十日陸行1月」.これは,昔,中国において日本に関するまとまった最古の記録,『三国志』の中にある通称「魏志倭人伝」に記された文章の一節である.新井白石,本居宣長以来,多くの人々が倭人伝に記された,およそ二千の文字を手がかりに探し求めてきた"まぼろしの邪馬台国"この邪馬台国がヤマトとも読めることから,倭人伝の解釈をめぐって,あるものは畿内山和地方を,あるものは九州各地を唱え,いまだ明らかにする証しは見つかっていない.
私自身がこの邪馬台国に興味を抱いたのは,我が故郷大分県(宇佐)がその説の一つとして挙げられ,遠い昔女王卑弥呼の住む邪馬台国の存在を夢見て古代へのロマンに惹かれたからである.大分県宇佐説を最初に唱えたのは富来隆氏(大分大学名誉教授)であり,さらに昭和48年に作家の高木彬光氏が邪馬台国の秘密の中で唱えた.高木氏は魏志倭人伝の中の文章に一切の改訂を加えないで推理し宇佐説を結論づけた.さらに宇佐市にある宇佐神宮の第二殿に祀られている比売大神は女王卑弥呼であるといい,社殿の下に埋められている石棺の中に眠っているという推測である.現在,宇佐神宮では毎年,邪馬台国論争大会が開かれている.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.