連載 看護史・ナイチンゲールに関する単行書・1【新連載】
ドックら著の看護史について
長門谷 洋治
1
1日本生命済生会付属日生病院皮膚科
pp.53-56
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906055
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はじめに
看護とはなにか。すなわち看護の本質について考えようとするとき,その歴史をまずひもといて,先輩の歩んできた道をふりかえってみることが必要と思われる。過去を知ることにより,初めて現在の看護の意味と位置づけを知ることが可能であり,さらには将来のあるべき姿の予言も可能となるであろう。
筆者はわが国の看護教育の現状についてあまり知るところはないが,一応看護史は独立した講義体系として教授されているようである(註)。このことは一見,当然のことのようではあるが,実際には非常に注目してよいことである。なぜなら,看護教育とはきわめて近縁な関係にあり,しかも歴史的にも,内容的にも豊富なものを有しているわが国の医学教育では,いまだに医学史が正統な扱いをされず,その講義の行われているところはきわめて微々たるものであるからで,このような歪んだ形の教育が行われてきたことが,今日の医学教育の混乱を来たしたといっても決して過言ではない。
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