技術講座 血液
FAB分類と骨髄標本作製上の問題点3—普通染色および特殊染色における注意点
佐藤 雅志
1
1日本大学医学部臨床病理学教室
pp.779-784
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203760
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FAB分類は,血球形態による急性白血病の分類法であり,普通染色所見が基礎となる.しかし普通染色所見だけでは診断に限界があり,その補助手段として特殊染色をいくつか利用することになっている.FAB分類の原著に記載されている特殊染色はどの施設でも従来からルチーンに実施されている簡便なものであり,ペルオキシダーゼ染色,ズダン・ブラック染色,エステラーゼ染色,鉄染色などである.ペルオキシダーゼ染色,エステラーゼ染色などは,何種類もの基質が存在するが,原著ではペルキオシダーゼ染色は使用する基質を限定していない.換言すればどのような基質を使用してもよいことになるが,AMLとALLの鑑別,特にM1とL1,L2の鑑別には,ペルオキシダーゼの陽性率がもっとも重要であるので鋭敏度の高い方法を選択することが必須である.エステラーゼ染色は,単球成分の増加がみられるM4,M5の診断に重要である.鉄染色はMDS(myelodysplastic syndromes)に分類されるRA(refractory anemia)with sideroblast(環状鉄芽球を伴った治療不応性貧血)の診断には欠かせないものである.
これらの特殊染色を症例にあわせてより適切に,よりきれいに染色することで,診断の精度を上げることが必要である.そこで本稿では染色法および染色を行ううえでの一般的注意や判定に際しての注意点を述べることとする.
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