技術講座 血液
FAB分類と骨髄標本作製上の問題点1—FAB分類の適用上の注意点と問題点
佐藤 雅志
1
1日本大学臨床病理学教室
pp.323-327
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203625
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急性白血病の分類法として1976年,Bennettら1)によりFrench-American-British Cooperative Groupの分類が発表され,約10年が経過した.本分類については種々の問題点が2〜5)が指摘されているが,適切に用いれば診断の一致率も高く,世界中で急性白血病の分類として一般的に用いられている.この新しい分類の特徴6)を挙げると,
1)本分類は仏,米,英の実際に白血病の治療など,臨床に携わっている学者により200例の症例を用いて1年以上かけて検討されたものであり,実際的である,
2)Romanowsky染色による血液,骨髄標本を主として,どの検査室でも実施できる特殊染色法を加えて分類している,
3)‘リンパ芽球性’は三つに,骨髄性は六つに細分類されているのが適当であること,
4)標本上に最も多くみられる細胞の所見を基本にしていて理論に走らないこと,
5)治療法の効果と病型分類がよく合致するように思われること,
6)近年,細胞表面マーカーや,酵素活性など新しい知見による分類が体系化されようとしているが,このことはFAB分類に追加して利用できるであろうと考えられること,
などである.
今回は,FAB分類の概略を説明し,適用するうえでの注意点を述べることにする.
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