技術講座 細菌
細菌の型別法3—インフルエンザ菌
佐伯 裕子
1
1鹿児島生協病院内科
pp.228-232
発行日 1986年3月1日
Published Date 1986/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203598
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インフレエンザ菌は小児の細菌性髄膜炎や急性中耳炎の原因菌として,また成人・小児の呼吸器感染症の原因菌として重要である.
外膜の周囲に多糖体層をもつ有莢膜株と多糖体層を欠く無莢膜株があり,有莢膜株は莢膜多糖体の血清学的特異性によりa,b,c,d,e,fの6血清型に分けられている.血液,髄液から分離される株は大部分がb型であるが,気道由来株は型別不能株がほとんどである.一方,Kilianはインドール産生能,尿素分解能,オルニチンデカルボキシラーゼ産生能の性状から5生物型に分類できることを報告し,この分類も現在広く行われている.病原性との関係では,髄膜炎ではI型が,眼科感染症ではIII型が多いといわれている.気道からはI,II,III,V型が多く分離されるが,病原性との関係はまだ明確ではない.起炎性の明確な髄膜炎由来のインフレエンザ菌は血清型b型・生物型I型がほとんどであり疫学的調査をしにくいという理由から,最近では外膜蛋白による型別法が検討されている.
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