技術講座 細菌
細菌の型別法4—Pseudomonas aeruginosa
竹内 典子
1
1岐阜大学医学部微生物学教室
pp.328-332
発行日 1986年4月1日
Published Date 1986/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203626
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自然界に広く分布するPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)はごくわずかの有機物質を含む湿潤環境で増殖できること,および増殖可能温度域が5〜42℃と広いこと,などの特性から,病院の水環境からも高頻度に検出される.さらに消毒薬の多くに抵抗性であることから,本菌による環境の汚染を一度許すと容易に撲滅できない.本来弱毒菌であるが,この菌の病院内蔓延や,抗生物質の多用による耐性菌の選択,さらに医療技術の進歩による感染防御能欠損患者の増加によって病院内感染症の主要原因菌の一つとなった.
このような事情からP. aeruginosaと同定された菌株については,病院内感染症のコントロールの目的で感染源および感染経路を明らかにするため,菌株をさらに細かく分ける必要がある.これを型別といい,具体的には耐熱性0抗原の抗原性による血清型別,P. aeruginosaが産生する抗菌物質ピオシンによるピオシン型別,およびバクテリオファージによるファージ型別を標準的な方法として挙げることができる.
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