技術講座 細菌
細菌の型別法1—肺炎球菌
小栗 豊子
1
1順天堂大学病院中央臨床検査室
pp.33-37
発行日 1986年1月1日
Published Date 1986/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203545
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肺炎球菌は莢膜特異抗原により,現在,84種の血清型に型別される.肺炎球菌の型別は,抗生物質治療が普及する以前は血清療法が行われていたので,このためには分離株の型別が必要であった.しかし,化学療法の発達普及に伴いその必要性はなくなったが,最近再び行われるようになってきた.その理由は肺炎球菌ワクチンが開発されたことである.
肺炎球菌はブドウ球菌やD群レンサ球菌(S.faecalis,S.faeciumなど)に比べれば,種々の抗菌剤に耐性の株は少ない.現にペニシリンなどの抗生剤が使用されるようになり,肺炎球菌感染症は激減したといわれている.しかし,乳幼児や老人,あるいは重症な基礎疾患を有する患者では肺炎球菌による感染症が多く,死亡率も高いといわれており,これらの患者を本菌感染症より救うためにワクチンが開発された.
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