最近の検査技術
緑膿菌の血清型別法
本間 遜
1
1東大・医科研細菌研究部
pp.609-614
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201431
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緑膿菌の感染症が最近医学及び獣医学分野で頻発するようになって,緑膿菌を型別する必要性が増大してきた.例えば白血病や癌,臓器移植の際には患者の免疫機能を極度に低下させる必要が起こるが,この時緑膿菌をはじめとする常在菌感染が発生する(opportunistic infectionと呼んでいる).これを防ぐためには病院内の汚染源を発見し,これを除去することに務めねばならない.緑膿菌による感染は他の常任細菌に比べてその頻度が著しく高いことと,緑膿菌感染が他の常在細菌に比べて重篤な場合がしばしばあるので,本菌の汚染源の発見と除去は,病院内感染を防ぐためにまず行わねばならないことである.
一方緑膿菌は非常に単純な組成の培地で増殖するために,病院内のどの場所でも増殖する可能性がある.従って緑膿菌が分離された場合には型別によって標識をつけ,同じ型が多くの場所から検出されるかどうか監視しなければならない.もし万一多くの患者材料から同一型が分離された時には,その汚染源の発見と除去を行わねばならない.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.