マスターしよう検査技術
黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型別法
潮田 弘
1
1東京都立衛生研究所
pp.555-561
発行日 1991年6月1日
Published Date 1991/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900634
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)とを分類するうえで,コアグラーゼ産生性は最も重要な性状とされてきた.しかし,近年,ブドウ球菌の分類が大幅に改訂され,コアグラーゼ陽性菌もS.aureus(subsp.aureusとsubsp.anaerobius),Staphylococcus intermediusおよびStaphylococcus hyicus(subsp.dyicus)の3菌種(3亜種)になった.
コアグラーゼ型別法1,2)は黄色ブドウ球菌の分類,型別法の一つである.黄色ブドウ球菌の型別法には世界的に普及しているファージ型別法3)と血清学的型別法4,5)があるが,血清型別法は類属反応などが多く,確立されるまでに至らなかった.広く普及してきたファージ型別法は23種のファージ(細菌ウイルス)を常備し,使用時にそのつど力価測定(RTD)を行うなど,手技が煩雑なうえに,どこの施設で行ってもよいというものではないなどの制約がある.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.