技術講座 生化学
尿中ポリアミンの測定法
岡部 紘明
1
1熊本大学中央検査部
pp.221-227
発行日 1986年3月1日
Published Date 1986/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203597
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ポリアミン(PA)およびその代謝産物は古くから多く知られていたが(表1)1),代表的なものとしてプトレシン(Put),カダベリン(Cad),スペルミジン(Spd),スペルミン(Spm)などが挙げられる.これらは細胞内では生体膜,リボソーム,核などに結合して,蛋白質,核酸,リン脂質に強い親和性をもっている.しかし,細胞内局在性についてはまだ不明な点が多い.細胞増殖や分裂の際に重要な役割を果たしていて,生理的,病的な増殖時に細胞内でRNAなどの変化に平行または先行して増殖するといわれている.癌細胞での増殖時に尿中に増加することから,癌との関係についても興味がもたれている(Russellら)2).
しかしながら,PAについては簡便な測定方法がなかったため,特定の領域でのみ測定され,臨床検査の分野では行われていなかった.近年,癌との関連性についての報告が多く,腫瘍マーカーとして有用性が示唆されている3).測定法の研究が進み,簡便な酵素が開発されてきたため,その分析法について概略を述べてみる.
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