技術講座 血液
血液凝固検査9—凝固インヒビターの測定(3)—プロテインC
鈴木 宏治
1
1三重大学検査医学
pp.1037-1042
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203522
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一般に血管内での血液凝固反応は血管の損傷部位に限られた反応であり,そこ以外での凝固反応は,血流による凝固因子の希釈や,また血液中の凝固インヒビターによって阻止される.血管内では不要な凝固反応は,このように制御され,血液の流動性は維持されているが,しかし凝固の制御系に異常が生じたとき血管内は凝固反応が著しく亢進した状態(hypercoagulability)になる.播種性血管内凝固症(DIC)などは,典型的な後天性の凝固制御系の異常例である.
最近,凝固インヒビターの先天性の欠損症により,止血異常をきたす症例が数多く報告されている.アンチトロンビンIII(AT III)欠損症,プロテインC欠損症,プロテインS欠損症などがそれである.これらの因子は,いずれも止血機構上非常に重要な凝固インヒビターであり,止血異常をきたす疾患の診断において必須の検査項目になりつつある.
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