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特集 小児臨床検査2024
Ⅳ.血液凝固・線溶系検査
1.血液凝固・線溶・抗凝固検査 9)アンチトロンビン,プロテインC,プロテインS,トロンボモジュリン
Antithrombin, protein C, protein S, thrombomodulin
江上 直樹
1
,
堀田 多恵子
2
,
大賀 正一
1
Naoki Egami
1
,
Taeko Hotta
2
,
Shouichi Ohga
1
1九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
2九州大学病院検査部
キーワード:
先天性欠乏症
,
電撃性紫斑
,
遺伝子検査
Keyword:
先天性欠乏症
,
電撃性紫斑
,
遺伝子検査
pp.118-122
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001894
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1 検査の意義と適応
1)アンチトロンビン凝固制御系
アンチトロンビン(antithrombin:AT)は肝臓で合成される血液凝固抑制因子の一つである。AT凝固制御系(図1)とよばれ,トロンビン(Ⅱa因子)やⅩa因子,血漿カリクレインなど多くの凝固因子を抑制することで凝固反応を阻害する。トロンビンがATと結合すると不活化され,トロンビン-アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex:TAT)を形成し,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)の診断の指標の一つとなる。抗凝固療法で用いられるヘパリンは,ATに結合すること抗凝固活性を数千倍に高め,抗凝固作用を示す。DICなどの際にヘパリンで抗凝固治療を行う場合は,ATを測定し必要に応じて補充を行わなければいけない。ATはかつてAT-Ⅲという名称が使用されていたが,これはもともとトロンビンを抑制する因子が6種類(Ⅰ~Ⅵ)考えられていたことに由来している。このなかでAT-Ⅲのみがトロンビンを抑制する働きがあることが確認され,現在ではAT-Ⅲを単にATとよぶと定められている。製剤名は「アンチトロンビンⅢ製剤」と表記されている点に注意が必要である。
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