技術講座 血液
血液凝固検査7—凝固インヒビターの測定(1)—循環抗凝血素
中村 克己
1
1鳥取大学臨床検査医学
pp.911-914
発行日 1985年10月1日
Published Date 1985/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203469
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循環抗凝血素とは
血液凝固因子が活性化されても一方的に凝固が進行しないのは,生理的にあるアンチトロンビンIIIなどの凝固抑制因子(凝固インヒビターともいう)による阻止があるからであるが,この生理的な物質とは異なり,後天性に病的に発生する凝固抑制因子があって,凝固因子またはその中間産物の働きを直接阻止する.この後天性に発生する凝固抑制因子が,一般に循環抗凝血素(circulatinganticoagulants)と呼ばれているものである.この循環抗凝血素が,ある量を超えると出血傾向が起こる.
循環抗凝血素は,血友病A,Bなどの先天性凝固因子欠乏症のみでなく,全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患,妊娠,分娩後,癌,異常蛋白血症,感染症,ある種の薬剤投与後,老齢者などにも出現し,このような場合,患者の出血傾向が凝固因子欠乏によるものか,循環抗凝血素の過剰によるものなのか,鑑別を必要とする.
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