日常検査の基礎技術
位相差顕微鏡の操作
塩 育
1
1日本光学工業(株)光機設計部
pp.543-550
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908979
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
我々人間の眼は明暗の差や色調の差を識別することはできるが,生細胞や活動中の微生物の微細構造は無色透明であるので,このままでは極めて観察が困難である,そこで染色する方法も考えられるが,対象物の死滅,微細構造の変形変質は避けられない.
1935年,オランダのF.Zernikeによって発明された位相差顕微鏡は前述の問題を見事に解決したもので,透明な対象物における光路差(屈折率と厚さの積の差)を明暗の差に変えて,肉眼で識別できるようにし、,染色することなく生体のまま観察できるようにした顕微鏡である.
今日においては,この位相差検鏡法は血液検査,血小板の測定,染色体,尿の沈渣,微生物の検査など,臨床検査における応用範囲1)も広く普及しているが,存外,正しい使い方は認識されていない.そこで位相差顕微鏡の正しい使い方について述べる.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.