技術講座 血清
梅毒の血清学的診断法 Ⅳ—トレポネーマ抗原試験(その1—TPHA試験)
笠松 重雄
1
,
山屋 駿一
1
,
菅原 孝雄
1
1国立予防衛生研究所細菌第2部
pp.742-755
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201909
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トレポネーマ試験のあゆみ
1927年,Jones1)は蛋白質をコロジオン粒子に吸着させた反応系を用いて,沈降反応を間接凝集反応に転換せしめえた.以来,担体に対する幾多の検討がなされ,生物系に由来するもの(赤血球など),非生物系に由来するもの(ラテックス粒子など)が多く臨床検査に用いられるようになった.
梅毒の血清学的診断法の領域においても例外ではなく,コレステロール,カオリン末などを用いる受身凝集(間接凝集)反応が登場し,日常の検査法として実用化されている.その詳細については既に本講座,梅毒の血清学的診断法Ⅱ及びⅢに述べられているが,この診断に用いられている抗原物質としてはカルジオリピンが主役をなしている.このカルジオリピンは病原Treponemaから取り出されたものではないので,偽陽性反応(False positive Reaction,あるいはFP)の出現がしばしば問題視される.したがって研究者は,病原Treponema(病原TP)を抗原とする血清学的診断法の確立に努力が傾注されてきた.
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