技術講座 血清
梅毒トレポネーマ受身赤血球凝集反応(TPHA)
辻 好克
1
1富士レビオ(株)中央研究所
pp.369-374
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204921
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
サマリー
梅毒の病原体であるTreponema pallidum(TP)を抗原とした梅毒血清反応のうち,抗体検出法には,蛍光抗体間接法を応用したFTA-ABSと受身赤血球凝集反応を応用したTPHA〔Treponema pallidum(passive)hemagglutination〕とが実用化され,キット試薬として市販されている.FTAF-A8Sは蛍光顕微鏡下で抗原菌体を蛍光発色で観察する方法で,インキュベーション2回,洗浄2回など多少操作が煩雑であるが鋭敏性,特異性に優れている.一方,TPHAは穴をうがった血球凝集反応板(HAトレイ)上で,希釈血清と感作血球とを混合し,所定時間静置し,血球の沈降像の形態を観察して判定する方法で,操作が非常に簡単であり,しかも前者と同程度の性能を有している.しかし,手技が簡便であるだけに,操作上の注意を守る必要がある.また,近ごろはさらに簡略化したマイクロタイター法が普及するようになり,微量化,迅速化がなされている.
従来TPHAは,感染初期に産生される抗体の把握率は低いといわれていたが1),最近は初期抗体にも鋭敏な新TPHAが開発されている2,3).
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.