技術講座 血清
梅毒の血清学的診断法 Ⅴ—トレポネーマ抗原試験(その2—FTA-ABSテスト)
山屋 駿一
1
,
菅原 孝雄
1
,
笠松 重雄
1
1国立予防衛生研究所細菌第2部
pp.826-832
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201928
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螢光抗体法
最近の臨床検査における血清反応は簡便で迅速な方法が要望され,その目的のため種々の自動化装置が開発されている.しかし,血清反応が疾患の診断に決定的に重要な役割を果たす場合には,反応の感度と特異性を向上させるための特別な工夫が必要である.この目的のために工夫されたものがラジオアイソトープ(RI)や酵素,色素などをトレーサーとして用いる方法であり,これらのトレーサーを,あらかじめ抗体に結合させておき抗原抗体反応に用いる方法を標識抗体法と呼んでいる.
ラジオアイソトープを抗体に標識して用いる方法(Radioimmunoassay;RIA)は極めて感度の優れた方法であるが,その取り扱いのために特別の装置を必要とするほか,廃棄物処理の問題がある.このため酵素や螢光色素を標識する方法(酵素抗体法,螢光抗体法)が広く行われるようになった.これらの方法はその手技が改良され,最近ではRIAと同等の感度を持つ方法も開発されつつある.
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