技術講座 生理
シリーズ 血流を診る・2
超音波―VFM®(vector flow mapping)
板谷 慶一
1
,
宮地 鑑
2
1北里大学医学部血流解析学講座
2北里大学医学部心臓血管外科
pp.1126-1132
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104083
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新しい知見
近年,心臓血管系の画像技術は飛躍的に進歩しており,従来の白黒静止画像からカラー動画へと移り変わり,形態診断から機能診断を主体とするように変貌を遂げつつある.このような技術的進歩に伴って,近年は心臓超音波や放射線画像を用いて心室内の血流の動きを目に見えるようにする技術(可視化技術)が注目されるようになり,心室内に発生するさまざまな時相でのさまざまな役割を果たす渦流が手に取るようにわかるようになってきた.このような血流の動態をダイナミックに表示する技術は魅惑的な動画を提示するのみならず,血流速度分布を系統的に記述することが可能であるため,心臓血管内腔における血流の環境の変化を視覚的にも定量的にも捉えることを可能にするものであり,循環器生理学や循環器診療に新たな視点をもたらしうるものして期待されている.本稿では,心臓超音波を用いた血流可視化技術と,筆者らの研究室で開発されたVFM®(vector flow mapping:日立アロカメディカル社)を紹介し,VFM®によって心臓内の血流や渦流がどのように見え,どのような意義をもち,解明されるようになってきたかを報告する.
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