技術講座 微生物
ブドウ球菌の産生するPanton-Valentine Leukocidin(PVL)の検出方法
宮城 郁乃
1
,
山根 誠久
2
1琉球大学医学部附属病院検査部
2琉球大学大学院医学研究科先進検査医学講座
pp.464-468
発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103943
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新しい知見
Panton-Valentine Leukocidin(PVL:leucocidinとも記載される)の細胞毒性は多核白血球,単球,マクロファージを標的とし,その他の細胞はほとんど傷害を受けない.また,動物種で感受性が異なり,ウサギとヒト細胞は感受性を示すが,マウス細胞は比較的耐性がある.平素,健康なヒトでの重篤なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)感染,市中感染型MRSA(community-acquired MRSA,CA-MRSA)が近年注目されており,これらCA-MRSAを特徴付けるのがPVL産生であるとされている.わが国でも皮膚・軟部組織感染症の外来患者,特に癤,癰由来のMRSAでPVL陽性が多いことや,散発的ながら敗血症や壊死性肺炎などの重症例が報告されている.しかし,CA-MRSAの病原因子については,将来的なワクチン開発を念頭に置いて,PVLと溶血毒Hla(α毒素)の2つの研究についてホットな議論が展開されている.
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