Panton-Valentine Leukocidin産生黄色ブドウ球菌による背部巨大癰の1例

Carbuncle on the Back Due to Panton-Valentine Leucocidin-producing Staphylococcus aureus

80歳，女性。約10日前より徐々に悪化してきた背部の皮疹を主訴に当科を受診した。背部に20cm大の排膿を伴う発赤・腫脹がみられ，背部の巨大癰と診断した。創部培養でmethicillin-resistant Staphylococcus aureus（MRSA）陽性であり，入院にてバンコマイシン塩酸塩の投与を行った。抗菌薬投与終了後，残存している潰瘍部に対して陰圧創傷治療システムを導入し，創部は閉鎖した。その後創部から採取した検体よりPanton-Valentine leukocidin（PVL）産生MRSAが検出された。易感染性の基礎疾患がない患者で巨大癰をみたときには，起因菌としてPVL産生MRSAを念頭に置く必要がある。