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Rinsho Hifuka Volume 74, Issue 9 （August 2020）

臨床皮膚科 74巻9号（2020年8月発行）

Japanese English

症例報告

Panton-Valentine leukocidin産生MRSAによる上背部膿瘍の1例 A case of upper back abscess caused by Panton-Valentine leukocidin-producing MRSA 富田和貴 ¹ , 森本広樹 ¹ , 田嶋瑞帆 ¹ , 福地健祐 ¹ , 橋本奈々子 ² , 池谷茂樹 ¹ Kazuki TOMITA ¹ , Hiroki MORIMOTO ¹ , Mizuho TAJIMA ¹ , Kensuke FUKUCHI ¹ , Nanako HASHIMOTO ² , Shigeki IKEYA ¹ ¹中東遠総合医療センター皮膚科 ²中東遠総合医療センター放射線診断科 ¹Division of Dermatology, Chutoen General Hospital, Kakegawa, Japan ²Division of Diagnostic Radiology, Chutoen General Hospital, Kakegawa, Japan キーワード： Panton-Valentine leukocidin , メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 , 膿瘍 , アルコール性肝障害 Keyword: Panton-Valentine leukocidin , メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 , 膿瘍 , アルコール性肝障害 pp.698-702

発行日 2020年8月1日 Published Date 2020/8/1

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206139

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要約　59歳，男性．既往にアルコール性肝障害あり．上背部の膿瘍を伴う直径約10cmの隆起性浸潤性病変を主訴に，近医を経て当科を受診した．血液検査でWBC 30,900/μl，CRP 24.98mg/dlと炎症反応が高値だった．入院時の創部培養からPanton-Valentine leukocidin(PVL)産生メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が検出された．バンコマイシンとクリンダマイシンを併用し炎症反応は改善した．創部に対して精製白糖・ポビドンヨード軟膏外用とデブリードマンを行った．入院22日目に陰圧閉鎖療法を開始し，入院31日目に分層植皮術を施行し治癒した．癤，蜂巣炎，皮下膿瘍のような化膿性の皮膚深在性感染症を呈した場合，PVL産生MRSAを考慮する必要がある．PVL産生MRSA皮膚感染症は重症化することがある．特に肝疾患を合併する場合には，注意を要する．