Laboratory Practice 〈病理〉
腸管スピロヘータ症の組織像と有用な染色
立石 陽子
1
,
船田 信顕
1
1がん・感染症センター都立駒込病院病理科
pp.206-208
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103476
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はじめに
腸管スピロヘータ症は,Brachyspira属グラム陰性桿菌を原因菌とする人畜感染症である.ヒトに感染するスピロヘータの菌種にはB. aalborgiとB. pilosicoliの2種類が知られている.B. pilosicoliはイヌ,ブタ,トリなど多くの動物に感染し,B. aalborgiはヒトや霊長類に感染するとされている1).わが国では,Nakamuraら2)により腸管スピロヘータ症が報告されて以来,いくつかの施設で報告されている2~7).近年増加傾向にあるとされているが,その頻度やヒトに対する病原性は明らかでない.Tanahashiらはわが国における大腸生検・大腸EMR(endoscopic mucosal resection)・大腸切除材料の0.4%に腸管スピロヘータ症が存在したと報告しており3),日常業務における大腸生検などで遭遇しうる病変である.
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