Laboratory Practice 〈移植医療〉
―移植医療と検査⑦―肝移植後の合併症の病理
宮川(林野) 文
1
,
羽賀 博典
1
,
上本 伸二
2
1京都大学医学部附属病院病理診断部
2京都大学医学部附属病院肝胆膵移植外科・臓器移植医療部
pp.202-205
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103475
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はじめに
肝移植後の合併症の代表的なものは,グラフトの拒絶反応である.拒絶反応を含め,移植後合併症は多岐にわたり,グラフト肝生検の組織診断がゴールドスタンダードである場合が少なくなく,肝移植後の病理医の役割は大きい.移植後の合併症は,移植後の時間経過により疾患の頻度が異なる.移植肝生検は,これらの時期,患者背景を念頭に置きながら,組織学的鑑別と重症度の判定を行うこと,また治療による変化を判定することが目的である.移植後の各時期において頻度の高い移植後合併症を図1に示す1).免疫抑制剤の発達や抗ウイルス治療の進歩により,移植後早期の合併症は比較的対応可能になってきたが,現在は,移植後晩期の合併症が問題となっている.また,抗体関連拒絶は未知のことが多いが,今後解明されていく分野である.
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