増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅷ.感染症
1.細菌・クラミジア感染症の免疫検査
(5)スピロヘータ感染症
川端 眞人
1
1神戸大学医学部国際交流センター
pp.275-278
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901968
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ラセン状菌であるトレポネーマ,レプトスピラ,ボレリア属の細菌をスピロヘータと総称する.わが国では,スピロヘータ病原体で問題となる感染症は梅毒(トレポネーマ),ワイル病(レプトスピラ),ライム病(ボレリア)の3疾患である.いずれも全身性の感染症で多彩な病像を呈し,それぞれ臨床経過に特色があり,臨床所見から診断される.しかし,臨床所見に乏しい不顕性(潜伏)感染例や,非典型的な臨床経過の症例もあり,診断が困難となる例が多い.臨床検査では直接病原体スピロヘータを証明することは難しく,手技も煩雑であるため,補助診断として免疫血清反応が広く応用される.また,いずれも病期によって病原体が血中に出現し,ことに梅毒では経胎盤感染を生じたり,輸血を介した感染の原因となるため,スクリーニングとして血清診断が活用される.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.