増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VIII 病理・細胞診
4 子宮頸癌
佐伯 春美
1
,
石 和久
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院臨床病理科
pp.1009-1011
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102943
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子宮頸癌とは
子宮頸癌はわが国では現在,女性生殖器癌で最も頻度が高く,年間約8,000人に発生し,約2,500人が亡くなっている.特に最近は20~30歳代で発生率が増加し,死亡率も若年層で急激に上昇している.通常型の子宮頸癌の原因はヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus,HPV)感染症によることが明らかとなっている.HPVは一生涯で一度は感染するといわれているが,通常90%以上は免疫応答により自然排出し,残りは持続感染して異形成,さらには子宮頸癌になると考えられている.異形成は軽度・中等度・高度異形成に分類され,高度異形成まで進むと上皮内癌および子宮頸癌(主に扁平上皮癌)に進展する1).
子宮頸癌は扁平上皮癌および腺癌,その他の上皮性腫瘍(腺扁平上皮癌,すりガラス細胞癌,腺様囊胞癌,腺様基底細胞癌,カルチノイド,小細胞癌,未分化癌)に分類される.これらの病理組織学的鑑別は,ヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin-eosin,HE)染色にて行われることが通常であるが,時にHE染色のみでの診断が困難であり,免疫組織化学染色によって補助的に診断が行われる.また,子宮頸部には悪性リンパ腫もみられ,未分化癌との鑑別には免疫組織化学染色は有用である.
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