増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VIII 病理・細胞診
3 乳癌
中村 ハルミ
1
,
津田 均
1
1国立がん研究センター中央病院病理科・臨床検査科
pp.1003-1008
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102942
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
病理・細胞診分野で用いられる免疫反応には免疫組織化学(immunohistochemistry,IHC)と免疫細胞化学(immunocytochemistry,ICC)とがある.乳腺疾患診断の分野においてIHCは広く応用され,その領域は,①癌細胞における特定分子の発現の有無を明らかにし,病理診断名の確定や治療適応の決定に供するもの,②病変の良悪性診断の補助として用いるもの,に分けられる.前者の分子としてホルモン受容体〔エストロゲン受容体(estrogen receptor,ER),プロゲステロン受容体(progesterone receptor,PgR)〕,HER2(c-erbB-2)蛋白,Ki-67抗原,E-カドヘリンなどがあり,後者の分子としては,サイトケラチン5/6,p63などが知られている.これら以外にも研究レベルでは,筋上皮マーカーやリンパ節転移マーカーとしてのサイトケラチン19ほか,さまざまな分子の発現が調べられている.本稿では,これらの免疫反応を用いた組織化学が病理診断において果たす役割について概説したい.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.