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はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)は,関節滑膜の炎症により骨軟骨が破壊される慢性多発性関節炎を特長とする炎症性疾患である.その発症には遺伝的因子と環境因子が複雑にかかわっており,男女比は1:4と女性に多く,わが国での患者数は約70万人と推察される全身性の自己免疫性疾患のうち最も患者数の多い疾患である.近年,メトトレキサート(methotrexate,MTX)などの疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying antirheumatic drugs,DMARDs)に加え,抗腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF)-α薬などの生物学的製剤の開発に伴い,早期治療介入によりRAの進行を抑制することが可能となってきた.RAの関節破壊は発症初期から進行し始めるとされるが,いかに早期にRAを診断し適切な治療を開始できるかが患者の予後を左右するといわれており,いわゆるwindow of opportunityを逃さないことの重要性が提起されている.
RAの診断は,1987年に改定されたアメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology,ACR)の診断基準1)に沿って行われる.そのなかの唯一の血清学的指標であるリウマトイド因子(rheumatoid factor,RF)はRA患者の約70%に検出されるが,疾患的特異性が低く他の自己免疫性疾患患者でもしばしば陽性となり,さらに変形性関節炎や各種慢性炎症性疾患患者でも陽性となることから,RA診断に際しての特異性は高いとはいえないのが現状である2).
本稿ではRAに対して高い臨床的特異性をもち,RAの早期診断に有用とされる抗環状シトルリン化ペプチド抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody:抗CCP抗体)の特徴とともに,今回新たに開発された全自動測定試薬の概要をあわせて紹介する.
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