オピニオン
臨床検査技師の大学院教育―現状と展望
野島 順三
1
1山口大学大学院医学系研究科生体情報検査学
pp.708
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102498
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,臨床検査診断学の進歩発展は目覚ましい.単に病名の診断にとどまらず,病態像の把握・有効な治療法の選択・治療効果の判定と予後の推定など,臨床検査診断学は臨床医学の主軸をなすものとなってきた.なかでも,診断・治療の根拠となる臨床検査データの収集を担当する臨床検査技師には,高い技術と柔軟性に富んだ卓越した専門知識が求められている.
21世紀の医療現場が必要とする臨床検査技師は,以前のような単なる分析装置のオペレーターではない.チーム医療の一員として主体性と積極性をもち,“医師と対等に論議できる臨床検査技師”,“医師に対して診療支援のみならず研究支援ができる臨床検査技師”,“研修医や看護師を対象に臨床検査に関する教育支援ができる臨床検査技師”,“若い臨床検査技師の教育・育成ができる臨床検査技師”が求められている.さらに,大学病院や国公私立の基幹病院で働く臨床検査技師には,日常の検査業務以外にも自分たちの学問領域である臨床検査学をいっそう発展させるための研究・検討を行うことも要求される.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.